
その「生前贈与」、ちょっと待って!税金地獄と「渡しっぱなし」リスクを回避する家族信託の賢い活用法
将来の介護や、大切な人への財産承継を考えたとき、「生前贈与」を検討される方は多いでしょう。
しかし、家族間の善意のやり取りであっても、税務のルールを知らないと、思わぬ贈与税という大きな落とし穴にはまってしまうことがあります。
この記事では、実際に当協会にご相談に来られたお客様の失敗事例を基に、生前贈与の落とし穴と、「自分中心の安心設計」を可能にする家族信託の役割について解説します。
【事例】甥への2,000万円贈与が招きかけた「税金地獄」
あるお客様は、ご自身に万が一のことがあった際に介護を担ってほしいと考え、将来の介護費用として信頼する甥御さんに2,000万円を渡しました。
しかし、ご相談にいらっしゃったのは、「もし自分が施設に入った後、空き家になった自宅の管理や処分をどうしてもらえばいいか」という新たな不安が生じたためでした。
ここで問題となったのが、甥御さんに渡した2,000万円の性質です。
贈与の失敗が招く深刻なリスク
この2,000万円の金銭のやり取りは、渡した段階で特に約束事をしていなかったため、税務上は「対価性のない贈与」とみなされてしまう可能性が極めて高かったのです。
贈与とみなされた場合、贈与税は累進課税で、税率が最大55%にも上ります。
この2,000万円の事例では、控除額を差し引いても、甥御さんは約700万円もの贈与税を納税しなければならないリスクがあったのです。
(令和7年4月1日法令等速算表を基準とした計算)
幸いにも、ご相談いただいた時点ではお金を渡してから日が浅く、税務署から指摘を受ける前でした。
このままでは贈与とみなされてしまう可能性が高いため、私たちは緊急で対策を講じる必要がありました。
家族信託で「贈与」ではない「管理」の仕組みを構築
私たちはこの問題に対し、家族信託の組成を提案しました。
金銭のやり取りの性質を「資産の管理委託」へと変更し、お客様の本来の目的である「介護と自宅の管理」を確実にするためです。
家族信託による具体的な解決策
1.信託契約の組成
お客様(委託者)と甥御さん(受託者)の間で信託契約を締結しました。
2.金銭の性質の変更
財産を信託財産として扱うために信託口口座を開設し、当初渡していた2,000万円を預け入れました。これにより、金銭は「贈与されたもの」ではなく、「将来の介護や生活のために甥が管理する財産」という明確な目的を持つことになりました。
3.自宅の管理対策
本来の目的だった自宅も信託財産とし、将来的に甥御さんが管理・運用・処分できるように設計しました。
この対策により、贈与税のリスクを回避した上で、お客様が本当に望んでいた「もしもの時の自宅管理」という不安も同時に解消することができたのです。
専門家選びの視点:税理士と家族信託の専門家の違い
税金について言えば、税理士に相談するのが一番良い方法かもしれません。
税理士は節税の知識は豊富であり、贈与税の対策についてもよく知られています。
しかし、家族信託の組成と活用方法については、税理士でも詳しくない場合があります。
なぜなら、家族信託は税法だけでなく、民法や信託法といった法律分野全体にまたがる知識が必要だからです。
現在の日本社会では、「自分を中心とした身の回りのことで迷惑をかけないように財産を託す」という新しい考え方に基づいた家族信託の活用方法は、まだ広く認知されていないのが現状です。
・税理士:節税や納税の観点から助言
・家族信託専門家:財産の管理・運用・承継の仕組みを設計
「家族に財産を残したい」という相続の考え方よりも、
「自分を中心とした身の回りのことで迷惑をかけないように財産を託す」
という考え方をお持ちであれば、まず家族信託の専門家にご相談されることをお勧めします。
家族信託を活用することで、このような税務上の問題や、「家族間だからお金のやり取りで問題ない」という誤解によるリスクを回避しながら、財産の管理や承継をスムーズに行うことができます。
ご自身の想いを反映した安全な仕組みを構築するために、ぜひ一度専門家にご相談ください。
【家族信託推進協会へのお問い合わせ】





