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2025.11.4お役立ち記事
子どもがいないご夫婦が「感謝の気持ち」を財産に残す遺言代用信託とは

 

これまで、お子さんがいらっしゃらないご夫婦が抱える老後の不安と、家族信託を活用した具体的な解決事例(町田のご夫婦と姪御様のケース)をご紹介してきました。

この記事では、その事例の最終的な解決策にもなった、家族信託の重要な仕組みの一つである「遺言代用信託」について、詳しく解説します。

「遺言代用信託」は、単なる相続対策ではなく、ご夫婦の介護や生活を支えてくれた親族に対し、「感謝の気持ち」を法的に確かな形で伝えるための、非常に有効な手段です。

 

 


目次

1.遺言代用信託の基本:財産の「次の次の次の行き先」まで指定

2.なぜ遺言代用信託が「感謝の気持ち」を形にするのか?

3.公正証書で作成する「確実な安心」

4.まとめ:思いを「形」にして、不安を解消する

 


1. 遺言代用信託の基本:財産の「次の次の次の行き先」まで指定

家族信託でいう「遺言代用信託」とは、委託者(財産を託す人)の死亡によって効力が発生する、遺言書と同じような役割を果たす信託契約の仕組みを指します。

通常の遺言書は、「誰に(配偶者など)財産を渡すか」しか指定できません。

 

しかし、家族信託を利用した遺言代用信託では、以下のように「二世代先」の財産の行き先まで指定できます。

1.第一受益者:ご夫婦(元気なうちは自分たちが利益を受け取る)

2.第二受益者:配偶者(ご主人が亡くなった後、残された奥様が利益を受け取る)

3.残余財産の帰属先:最終的に信託契約が終了した後に、残った財産を誰に渡すか

お子さんがいないご夫婦の場合、特にこの「残余財産の帰属先(最終的な財産を受け取る人)」を指定できる点が、最大のメリットとなります。

 

 


2. なぜ遺言代用信託が「感謝の気持ち」を形にするのか?

ご夫婦の介護や財産管理を献身的に担ってくれるのは、通常、受託者となってくれた親族(甥や姪など)です。

 

しかし、この甥や姪は、法定相続人ではないため、遺言書がないとご夫婦の財産を相続することはできません。

遺言代用信託の仕組みを使うことで、ご夫婦は以下の願いを叶えることができます。

・法定相続人以外の人物へ財産を継がせる:ご夫婦の財産を、法律上の権利はなくても、心からお世話をしてくれた甥や姪に確実に継がせることができます。

・配偶者側親族への財産流出を防ぐ:奥様亡き後に奥様側の親族に財産が流れるのを防ぎ、自分たちをサポートしてくれた親族へ財産を集中させることができます。

・報いる気持ちを文章に残す:信託契約書という法的な文章の中に、「なぜその人物(甥や姪)に財産を継がせるのか」という感謝の理由を明確に残すことができます。

動画でも言及している通り、「感謝の気持ちを渡すこともできる」のがこの制度の重要な側面です。

これは、お世話になった親族への単なる金銭的な報酬ではなく、ご夫婦の思いが形になった「贈り物」となります。

渡す側も渡される側も、この感謝の仕組みがあることで、後の話し合いが非常にスムーズに進みます。

 

 


3. 公正証書で作成する「確実な安心」

家族信託は、多くの場合、公正証書で作成されます。遺言代用信託も公正証書とすることで、その内容は法的な証拠力が非常に高いものとなります。

これは、通常の遺言書と同じように、ご夫婦の「最終意思」を明確にし、「自分の資産を自分と奥さんのために動いてくれた名護(姪)さんに残したい」という切なる願いを、確実なものにするためです。

公正証書で作成することは、後で親族間で「本当にそんな約束だったのか」といった無用なトラブルを防ぎ、ご夫婦が安心して老後の生活を送るための土台となります。

 

 


4. まとめ:思いを「形」にして、不安を解消する

お子さんがいらっしゃらないご夫婦にとって、遺言代用信託は、老後の介護を支えてもらう仕組み(家族信託)と、死後の財産承継(遺言)の役割を一本化できる、非常に合理的な制度です。

「自分たちの思いを形にできるのね」「そういう作業ができるようになってくるのね」と、ご相談者が安心を得られるように、家族信託の仕組みを正しく理解し、当協会と共に、将来の不安を解消する一歩を踏み出しましょう。

 

 

 


この記事は、当協会の解説動画シリーズ「お子さんがいない家庭の家族信託事例|頼れる人がいなくても安心できる仕組み」を元に、家族信託の仕組みついて、初心者にもわかりやすく解説しています。記事では内容を4つに分けておりますので、すべての内容を確認したい方は下記動画を参照ください。

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