
家族信託は、親(委託者)と子(受託者)の二者間の契約ですが、導入を成功させる鍵は「家族全員の理解と合意」にあります。
「遠方の80代の母の不動産をどうするか?」
「うちの家族でもめたくない」
――そう願うなら、法律上の手続きよりも前に、家族全員を巻き込んだ「家族会議」を開くことが不可欠です。
この記事では、家族信託の検討を始める際に、なぜ家族全員の話し合いが重要なのか、
そして会議で必ず共有すべき2つの最重要情報について、具体的な不安解消に焦点を当てて解説します。
1.当事者以外も必ず!「情報格差」が生む将来の確執(争族)を防ぐ
家族信託契約の当事者は、法律上は財産を持つ親と財産管理を担う子の二者です。
しかし、この二者間の問題として捉えるのは、将来的な家族間のトラブルの最大の原因となります。
一.問題の根源:選ばれた子への「不信感」
信託契約を知らない他の兄弟姉妹は、「なぜあの人だけが財産を管理するのか」「親の財産を勝手に動かしているのではないか」と不信感を抱く可能性があります。
これは、誰がどの情報を知っているかという情報格差から生まれます。
この情報格差が、将来的に「争族」という形で、家族関係の確執を生む最大の原因となります。
導入検討の初期段階から、配偶者や他の子も含めた家族全員で「家族会議」を開くことを原則とし、共通認識の下で話し合いを進めることが、家族信託成功の9割を決めると言っても過言ではありません。
2.「いくらかかるか?」親の収支と資産状況をプロ視点で共有する
家族会議で最も重要なのは、財産に関する「事実」を明確にすることです。
特に次の2つについて、隠さずに家族内で情報共有することが、経済的な不安の解消につながります。
一.親の保有資産と収支の「未来の見える化」
親御さんの財産が現在どうなっていて、今後いくら必要になるのかを把握することが、家族信託の設計図となります。
・保有資産の全容:預貯金はもちろん、不動産の相続税評価額だけでなく、現在の時価とその動向まで把握するのが理想的です。特に、遠方の不動産など、家族が実態を把握できていない資産は要注意です。
・今後の収支予測(介護費用シミュレーション):在宅介護か施設入所かを踏まえ、年間の収支の見通しを立てます。
これにより、「保有資産を、いつまでに、どのくらい消費するか」という消費計画が明確になり、「お金が尽きる不安」を具体的に解消することができます。
二.親と子の「想い」に関する情報共有:もめごとの可能性を絶つ
次に、数字では表せない「想い」の情報格差をなくすことが重要です。
・親の生活の希望:親御さんが「今の生活をどう続けたいか」「どのくらいの水準の介護を望むか」という希望を明確に伝えます。
・子世代の役割と要望:介護や管理を担う家族は「どこまでサポートできるか」、他の家族は「どのような資産承継を希望するか」といった要望を伝え合います。
こうした“事実”と”想い”のすり合わせをしている家族は少ないのが現状ですが、この情報共有こそが、将来「知らなかった」という一言から始まるもめごとの可能性を絶つ最強の防御策となります。
まとめ:専門家を交えた「家族会議」で争いのない未来へ
家族信託は、単なる法的手続きではなく、ご家族の未来のルール作りです。
法律上は二者間の契約であっても、家族全員で情報共有し、共通認識の下で話し合うことで、将来的な確執を防げます。
特に、高齢の親御さんの一人暮らしや遠方不動産の管理といった切実な問題に直面しているご家族ほど、この「家族会議」は重要です。
ご家族全員の想いを受け止め、専門家の知恵を借りながら、争いのない安心の財産管理と円満な資産承継を実現しましょう。
【家族信託推進協会へのお問い合わせ】






