
この記事は、当協会の解説動画シリーズ「お子さんがいない家庭の家族信託事例|頼れる人がいなくても安心できる仕組み」を元に、家族信託の仕組みついて、初心者にもわかりやすく解説しています。
記事では内容を4つに分けておりますので、すべての内容を確認したい方は下記動画を参照ください。
目次
1.「子どもがいない=家族信託はできない」は誤解です
2.なぜ子どもがいないご夫婦に家族信託が必要なのか?
2-1. 介護が必要になった時の「誰に頼るか」という心理的な不安
2-2. ご夫婦亡き後の財産承継の難しさ(配偶者側親族への流出リスク)
3.受託者は誰を選ぶべきか?信頼できる親族がいれば大丈夫
4.まとめ:家族信託は「諦め」から「安心」へ変える第一歩
1. 「子どもがいない=家族信託はできない」は誤解です
「家族信託に興味はあるけど、私たちには子どもがいないから利用できないだろう」と、検討を諦めてしまっていませんか?
実は、お子さんがいらっしゃらないご夫婦であっても、家族信託は有効に活用できる制度です。
むしろ、お子さんがいないケースこそ、将来の不安や財産承継の難しさが大きくなりがちであり、家族信託が強力な解決策となることが多くあります。
家族信託とは、ご自身の財産を信頼できる家族・親族に託し、目的に沿って管理・運用してもらう仕組みです。
財産を「預ける人(委託者)」と「預かる人(受託者)」がいれば成立する制度であり、受託者は必ずしも「子ども」でなければならないという決まりはありません。
2. なぜ子どもがいないご夫婦に家族信託が必要なのか?
お子さんがいないご夫婦が抱える、特に大きな将来の不安は以下の2点です。
2-1. 介護が必要になった時の「誰に頼るか」という心理的な不安
ご自身に介護が必要になった時、誰が手続きや費用の管理をしてくれるのか、という問題は深刻です。
お子さんがいれば相談しやすいですが、そうでない場合、「誰に頼めばいいのだろうか」という心理的な負担が非常に大きくなります。
家族信託で信頼できる甥・姪、兄弟姉妹などを受託者に定めておけば、その不安は解消されます。
財産管理を任せる相手(受託者)と、お金を何のために使うか(例:介護費用への充当、施設入居の手続き)を事前に明確にできるからです。
2-2. ご夫婦亡き後の財産承継の難しさ(配偶者側親族への流出リスク)
もしご主人が先に亡くなり、その後奥様が亡くなった場合、奥様の財産は奥様のご兄弟や甥・姪など、奥様側の親族に相続されるのが原則です。
ご主人側の親族(ご主人のお世話をしてくれた甥・姪など)へ財産を継がせたいと思っていても、遺言書がないと、ご主人が築いた財産が奥様側の親族に流れてしまう可能性があります。
家族信託、特に「遺言代用信託」の仕組みを活用すれば、「最終的に財産を誰に渡すか(帰属先)」をご夫婦の意思で指定することが可能です。これにより、お二人の介護をサポートしてくれた親族へ、感謝の気持ちと共に財産を遺すことができます。
3. 受託者は誰を選ぶべきか?信頼できる親族がいれば大丈夫
お子さんがいない場合、家族信託の受託者として検討される主な親族とその特徴は以下の通りです。
(1)甥・姪
甥・姪は、比較的若く、体力や判断力があることが多い点で適任です。ご夫婦との関係が良好な場合は最も有力な候補者となりますが、家族信託の仕組みや手続きをしっかり理解してもらう必要があります。
(2)ご兄弟・ご姉妹
ご兄弟・ご姉妹は、昔からの関係で信頼が厚く、ご夫婦の状況を理解しやすいというメリットがあります。しかし、ご自身と同年代であるため、ご兄弟・ご姉妹の認知症や死亡による「二次相続」の準備も同時に考えておく必要があります。
重要なのは、血縁関係の近さではなく、「ご夫婦のことを心から心配し、託された財産をご夫婦のために責任をもって使ってくれる」という強い信頼関係があるかどうかです。
4. まとめ:家族信託は「諦め」から「安心」へ変える第一歩
「家族信託はできない」と諦めていた方も、お子さんがいなくても利用できること、そして老後の不安や死後の財産承継の問題を解決する有効な手段であることをご理解いただけたかと思います。
家族信託は、単に財産を移す手続きではありません。
・誰に頼るか(受託者の決定)
・何をしてもらうか(介護費用への充当や不動産の処分など)
・最後に誰に渡すか(帰属先の指定)
という、ご夫婦の老後の願いや「思い」を、法的に確かな形で「形にする」ための作業です。
「私たちには無理」と決めつけず、まずはご自身の状況と不安を私たちにご相談ください。ご夫婦の願いを反映した最適な家族信託のプランニングをお手伝いします。
【家族信託推進協会へのお問い合わせ】





