
「親の介護費用、一体いくらかかるんだろう…」「毎月の支払いが厳しくなってきた…」
親の介護は、多くのご家庭にとって経済的な負担が大きな課題です。年々増加する介護費用に頭を悩ませている方も少なくないでしょう。しかし、心配はいりません。利用できる公的支援制度や、費用を抑えるための具体的な方法を知っていれば、負担を大幅に軽減できます。
この記事では、親の介護費用に悩むあなたのために、介護費用の現状から、活用できる公的支援制度、効果的な費用削減策までを詳しく解説します。さらに、認知症の場合の特別な対応や、家族信託といった将来に備える方法についてもご紹介します。
介護費用の現状と、なぜ費用がかさむのか
まずは、現在の介護費用がどのくらいかかるのか、その現状を把握しておきましょう。
介護費用は、サービスの種類や利用頻度、施設の形態によって大きく異なりますが、年々増加傾向にあります。特に、施設入所となると、月額20万円以上かかることも珍しくありません。これは、食費や居住費、介護サービス費などが含まれるためです。
在宅介護の場合でも、介護用品の購入費、訪問介護やデイサービスなどの利用料、住宅改修費用など、様々な費用が発生します。これらの費用が積み重なることで、家計に大きな負担を与えてしまうのです。
親の介護で利用できる主な公的支援制度
介護の経済的負担を軽減するために、国や自治体には様々な公的支援制度が用意されています。これらの制度を理解し、適切に活用することが非常に重要です。
1.介護保険制度
介護保険制度は、65歳以上の方が利用できる最も基本的な介護支援制度です。要介護認定を受けることで、自己負担割合1割から3割で様々な介護サービスを利用できます。
介護保険制度の対象となるサービスには、以下のようなものがあります。
・訪問介護(ホームヘルプ):自宅にヘルパーが訪問し、身体介護や生活援助を行います。
・通所介護(デイサービス):施設に通い、入浴や食事、レクリエーションなどを利用します。
・短期入所生活介護(ショートステイ):短期間施設に入所し、介護を受けます。
・福祉用具のレンタル・購入費助成:介護用ベッドや車いすなどの福祉用具のレンタルや購入費用の一部が助成されます。
・住宅改修費助成:手すりの設置や段差解消など、自宅を介護しやすい環境に改修する費用の一部が助成されます。
これらのサービスを上手に組み合わせることで、在宅での介護を継続しやすくなります。
2.高額介護サービス費制度
「毎月の介護費用が高額になってしまった…」そんな時に頼りになるのが高額介護サービス費制度です。
これは、同じ月に利用した介護保険サービスの自己負担額(1割~3割分)が一定の上限額を超えた場合、その超えた分が後から払い戻される制度です。所得によって上限額が定められており、所得が低い方ほど上限額が低く設定されています。
申請を忘れてしまうと払い戻しを受けられないため、介護費用が高額になった場合は、必ず市区町村の窓口やケアマネージャーに相談し、申請手続きを行いましょう。
3. 生活保護制度
収入が著しく少なく、経済的に困窮している場合には、生活保護制度の利用を検討できます。
生活保護は、健康で文化的な最低限度の生活を保障する制度であり、医療費や生活費だけでなく、介護費用も支援の対象となります。ただし、利用には厳格な条件があり、資産状況なども含めて審査が行われます。
ご自身やご家族の状況が生活保護の条件に当てはまるかどうかは、お住まいの地域の福祉事務所に相談して確認してください。
介護保険制度を最大限に活用するポイント
介護保険制度は、親の介護費用を抑える上で最も重要な柱です。最大限に活用するためのポイントを押さえておきましょう。
1.要介護認定は適切な等級を受けることが重要
介護保険サービスを利用するためには、まず要介護認定を受ける必要があります。
申請をすると、ケアマネージャーが訪問調査し、認定までの流れの説明をします。
この認定によって、受けられるサービスの量や種類が変わってきます。
・要介護度が高くなるほど、利用できるサービスの量も増えます。
・申請の際は、親御さんの状態を正確に伝え、適切な要介護度を認定してもらうことが重要です。
もし、認定結果に納得できない場合は、不服申し立てを行うことも可能です。
2.ケアマネージャーと相談しながら最適なケアプランを作成
要介護認定を受けると、介護サービス利用の専門家であるケアマネージャーが担当につきます。
ほとんどが申請の時の担当と同じなので、ある程度はケアマネも状況を把握していますが、改めて相談をしましょう。
・親御さんの状態や家族の希望を詳しく伝え、最適なケアプランを作成してもらいましょう。
・ケアプランは、利用できるサービスの種類、利用頻度、費用などが具体的に記載された計画書です。
・定期的にケアマネージャーと面談し、状況の変化に合わせてケアプランを見直してもらうことも大切です。
3.利用できるサービスの組み合わせを工夫する
介護保険サービスには様々な種類があります。闇雲に利用するのではなく、サービスの組み合わせを工夫することで、費用を抑えつつ効果的な介護を実現できます。
・例えば、週に数回はデイサービスを利用して日中の介護負担を軽減し、夜間は訪問介護を利用するといった組み合わせが考えられます。
・また、介護保険外のサービス(配食サービスや見守りサービスなど)も組み合わせることで、よりきめ細やかな介護が可能になります。
認知症の場合の特別な対応と費用対策
認知症の場合、通常の介護に加えて特別な対応が必要となり、費用もかさみがちです。しかし、認知症の方に特化したサービスや制度も存在します。
1. 認知症の症状や進行度に応じたケアプランの作成
認知症の症状は、進行度によって大きく異なります。そのため、症状や進行度に合わせたケアプランを立てることが非常に重要です。
・初期の段階では、デイサービスやグループホームなどの利用を検討し、社会とのつながりを保つことが大切です。
・進行が進むと、徘徊や妄想などの症状が現れることもあります。その場合は、認知症に特化した専門的なケアを提供する施設やサービスを検討しましょう。
ケアマネージャーと密に連携し、症状の変化に応じてケアプランを柔軟に見直していくことが、適切な介護と費用管理につながります。
2.見守りサービスの活用
認知症の方の介護では、見守りが非常に重要になります。特に、一人暮らしの場合や日中目を離す時間がある場合に有効なのが、見守りサービスです。
・センサーを活用した見守り:離れて暮らす家族がスマートフォンのアプリで安否確認できます。
・定期的な声かけ訪問:安否確認や簡単な会話を通じて、精神的な安心感を提供します。
これらのサービスを導入することで、家族の負担を軽減し、費用を抑えながら安全な生活を維持できます。
3.成年後見制度の検討
認知症の進行により、ご本人の判断能力が著しく低下した場合、成年後見制度の利用を検討することも大切です。
成年後見制度は、判断能力が不十分な方を保護し、財産管理や契約などの法律行為を代わりに行う制度です。これにより、預貯金の管理や医療費・介護費の支払いなどを円滑に進めることができます。
将来を見据えた費用対策:家族信託の活用方法
親の判断能力が低下した場合に備え、将来の財産管理や介護費用対策として有効なのが家族信託です。
家族信託とは、信頼できる家族に財産(現金、不動産など)を託し、その財産の管理・運用・処分を任せる制度です。
1.財産管理の継続性が確保できる
親が認知症などで判断能力を失ってしまっても、あらかじめ家族信託契約を結んでおくことで、受託者(財産を託された家族)が財産管理を継続できます。
これにより、介護費用の支払いや医療費の精算などが滞ることなく行えます。
2.家族による柔軟な対応が可能
家族信託は、成年後見制度に比べてより柔軟な財産管理が可能です。
・契約内容を自由に設定できるため、親の意思や家族の状況に合わせて、財産の使い方や管理方法を細かく決めることができます。
・例えば、「介護費用に充てる」「特定の目的に使う」など、具体的な指示を盛り込むことも可能です。
まとめ:早めの準備と専門家への相談が安心の介護への道
親の介護費用は、多岐にわたり、時に大きな負担となることがあります。しかし、国や自治体が提供する様々な公的支援制度を理解し、適切に活用することで、その負担を大きく軽減できます。
介護保険制度を最大限に活用し、高額介護サービス費制度や必要に応じて生活保護制度も検討しましょう。また、認知症の場合は、症状に合わせたケアプラン作成や見守りサービスの活用、成年後見制度の検討が重要です。さらに、将来に備えて家族信託を検討することで、安心した介護環境を整えることができます。
最も大切なのは、早めの情報収集と準備です。介護が始まる前から、あるいは介護費用に不安を感じ始めたら、すぐにでも行動を起こしましょう。
どこから手をつければ良いか分からない、個別の状況に合わせたアドバイスが欲しい、そんな時は迷わず専門家に相談してください。お住まいの地域の地域包括支援センターは、介護に関する総合的な相談窓口です。まずはそこに相談してみることから始めてみてはいかがでしょうか。
そして、家族信託についてより具体的に検討したい、ご自身のケースでどのように活用できるか知りたいとお考えの場合は、ぜひ一般社団法人家族信託推進協会にご相談ください。私たちは、家族信託の専門家として、皆様が安心して介護と向き合えるよう、最適なプランをご提案させていただきます。初回無料相談も承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。
親御さんにとってより良い介護環境を整えるために、そしてあなた自身の負担を軽減するためにも、一歩踏み出してみましょう。





