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2025.6.23お役立ち記事
任意後見制度とは?メリット・デメリットや手続き方法、成年後見制度との違いをわかりやすく解説

任意後見制度について詳しく知りたい方も多いのではないでしょうか。本記事では、任意後見制度の基本的な概念から、メリット・デメリット、手続き方法、さらには成年後見制度との違いまで、分かりやすく解説していきます。

目次

 

  1. 任意後見制度とは
  2. 任意後見制度のメリット
  3. 任意後見制度のデメリット
  4. 手続き方法の詳細
  5. 成年後見制度との違い
  6. よくある質問(FAQ)

 


1. 任意後見制度とは

任意後見制度は、将来、自分で判断することが難しくなった時のために準備できる制度です。元気なうちに、信頼できる人(後見人)を自分で選んで、その人に何をお願いするかを決めておくことができます。

この制度の良いところは、自分の意思を大切にできることです。後見人と正式な契約を結び、お互いが同意した内容に基づいて進めていきます。

また、判断力がしっかりしているうちに、将来の生活や お金の管理について、自分の希望を細かく決めておけます。これまでの成年後見制度と比べて、より自由に自分の意思を反映できる新しい仕組みといえます。

 

主な特徴

・本人の意思と自己決定権を最大限に尊重し、将来の生活設計を自らの判断で決められる制度設計となっています

・法的な効力と安全性を確保するため、公正証書による正式な契約の締結が必要不可欠です

・財産管理だけでなく、医療や介護などの身上監護に関する幅広い事項について、具体的かつ詳細な規定を設けることができます

 


2. 任意後見制度のメリット

任意後見制度には、以下のような重要なメリットがあります

・自分の意思で信頼できる後見人を自由に選択することができ、将来の生活に関する重要な決定を任せられる人を指定できます

・財産管理や医療に関する決定など、後見人に委任する内容を具体的かつ詳細に指定でき、自分の希望に沿った支援体制を構築できます

・判断能力が低下した場合の生活や財産管理について、前もって具体的な計画を立てることができ、将来への不安を軽減できます

・制度の利用を検討する過程で、将来の生活設計について家族と具体的な話し合いを持つきっかけとなり、互いの考えや希望を共有することができます

 


3. 任意後見制度のデメリット

一方で、任意後見制度には以下のような注意すべき点や制約事項が存在します

・費用面での負担が発生します(公正証書作成費用、後見監督人への報酬、その他手続きに関連する諸費用など、複数の費用が必要となります)

・後見人との間に深い信頼関係が必要不可欠です。選任後も継続的なコミュニケーションと良好な関係性の維持が重要となります

・契約締結時には十分な判断能力を有していることが必須条件となります。このため、判断能力が低下してからでは契約することができません

・契約後すぐに効力は発生するわけではなく、任意後見監督人が選任されてから効力が発生します。そのため、判断能力がしっかりしている状態での財産管理はできません。

 


4. 手続き方法の詳細

任意後見制度の手続きは、以下の手順で進めていきます:

1.後見人候補者との事前相談

2.公正証書の作成(公証役場にて)

3.任意後見契約の締結

4.任意後見監督人選任の申立て

 


5. 成年後見制度との違い

では、任意後見制度と成年後見制度の主な違いについて見ていきましょう。この2つの制度は、一見似ているようで実は大きく異なる点がいくつかあります。
まず開始時期について。任意後見制度では、元気なうちに契約を結んでおけるので、将来に向けて準備ができます。一方、成年後見制度は家庭裁判所の審判が必要となるため、手続きに時間がかかることもあります。
後見人の選び方も大きな違いです。任意後見制度なら「この人に任せたい!」という方を自分で選べますが、成年後見制度では家庭裁判所が決定することになります。
さらに、後見人の権限範囲にも違いがあります。任意後見制度では、契約の中で「これとこれをお願いしたい」と自由に決められるのに対し、成年後見制度では法律で定められた範囲内での支援となります。

 

 


6. よくある質問(FAQ)

Q1. 任意後見制度の費用はどのくらいかかりますか?
公正証書作成費用として約1〜2万円、その他監督人への報酬等が必要です。具体的な金額は、契約内容や状況によって異なります。

 

Q2. 任意後見人には誰でもなれますか?
原則として、成年であれば誰でもなることができます。ただし、信頼関係が重要なため、慎重に選ぶ必要があります。

 

Q3. 家族信託と任意後見制度とはどう違うのですか
家族信託は財産の効率的な管理と円滑な承継を目的とした制度であり、信頼できる受託者に対して、財産の管理・運用・処分に関する権限を包括的に委託する仕組みです。受託者は委託された財産を信託契約で定められた目的に従って管理・運用する責任を負います。一方、任意後見制度はより包括的な制度であり、財産管理の側面に加えて、医療決定、介護サービスの選択、生活環境の調整など、本人の生活全般に関わる幅広い支援を提供することができます。ただし、財産管理については任意後見監督人のチェックが入るため、自由が利かないという事もあります。大きな違いとしては、開始時期の違いです。家族信託では、信託契約の締結後、直ちに効力が発生して、受託者による財産管理が始まります。これに対して、任意後見制度では、契約締結後すぐには効力は生じず、本人の判断能力が低下し、家庭裁判所により任意後見監督人が選任された時点で初めて効力が発生する仕組みということです。

 

 


まとめ

任意後見制度は、将来の不安に備えるための有効な手段の一つです。本人の意思を最大限尊重できる制度ですが、導入にあたっては、メリット・デメリットを十分に理解し、慎重に検討することが重要です。

状況によっては、将来の備えだけではなく、現時点での財産の管理・運用・処分に関する権限を委任したいという場合もあります。その場合は家族信託も検討されたほうが良いので、是非家族信託推進協会にご相談ください。

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