お知らせ NEWS
2025.6.16お役立ち記事
不動産の家族信託とは?税金・費用から設定方法まで解説

家族信託は、高齢化社会における財産管理と相続対策の課題を包括的に解決できる法的な仕組みとして、専門家や資産家の間で大きな注目を集めています。財産の保全から次世代への円滑な承継まで、様々なニーズに対応できる柔軟性を備えているため、特に不動産所有者の間で関心が高まっています。本記事では、不動産の家族信託について、その基本的な概念から実務的なポイント、さらには具体的な活用事例まで、実践的な内容を分かりやすく解説していきます。

 


目次

  1. 家族信託の基本的な仕組み
  2. 不動産信託のメリット
  3. 不動産信託のデメリット
  4. 税金の取り扱いについて
  5. 家族信託の具体的な手順
  6. よくある質問と回答

 


1. 家族信託の基本的な仕組み

家族信託とは、財産所有者(委託者)が信頼できる家族(受託者)に財産管理を委ねる法的な仕組みです。この制度では、委託者が指定した特定の家族(受益者)が財産から生じる利益を受け取ることができます。これにより、財産の管理と活用を確実に行いながら、世代間での円滑な資産移転を実現することが可能となります。この仕組みは、特に高齢化社会における財産管理の新しい選択肢として注目を集めています。

主な登場人物

・委託者:財産を信託する人(例:親)

・受託者:財産を管理する人(例:子)

・受益者:利益を受け取る人(例:委託者自身や家族)

 


2. 不動産信託のメリット

認知症などで判断能力が低下しても、財産管理が継続できる

認知症になって判断力が衰えても大丈夫です。あらかじめ決めておいた契約に従って、信頼できる家族(受託者)が財産を管理してくれます。このため、財産を持っている人(委託者)の希望通りに、安全に資産を長く運用していくことができます。

財産の帰属先を指定できる

家族信託を使えば、信託財産を誰に財産を渡すかを前もって決められるので、遺言書だけでは対応しきれないところも作成できます。

将来の資産承継を計画的に進められる

信託契約では、財産を持っている人の意思をはっきりと書き込むことで、将来の信託財産の引き継ぎ方を細かく決められます。

 


3. 不動産信託のデメリット

・信託設定時に必要な初期費用の負担がある

信託設定時には、契約書作成や登記費用、専門家への相談料など、相応の初期費用が必要となります。具体的には、信託契約書の作成費用、不動産登記にかかる費用(物件価値により変動)、税務や法務の専門家への相談料などが含まれます。さらに、信託財産の評価費用や固定資産税の支払いに係る手間なども考慮する必要があり、案件の複雑さや規模によって総額は大きく変動する可能性があります。

・受託者には重大な法的責任と実務的な負担が伴う

受託者には財産管理における法的責任と義務が課せられ、適切な判断と実務対応が求められます。具体的には、信託財産の適切な管理・運用、税務申告への対応(確定申告や固定資産税の手続き)、さらには受益者への利益など、多くの業務を行う必要があります。ただし、これらは委託者と受託者の関係性によっては、家族信託を結ぶ前から、親の代わりに固定資産税を払ったり、家の管理を行っていたりと、すでにやっていることが多いです。新たな負担が出るというよりも、より法的な証明ができるようになったと捉えても良いかもしれません。

・複雑な法律・税務知識と継続的な専門家サポートが必要

家族信託を始めて運営していくには、相続や税金に関する専門的な知識が必要なため、専門家のサポートは欠かせません。不動産信託には複雑な手続きや規則があり、将来の相続のことも考える必要があります。また、法律や税制度は変更されることもあるので、専門家と長期的に相談しながら進めていくことが大切です。

 


4. 税金の取り扱いについて

信託設定時の税金

信託設定時の税金については、基本的な原則として贈与税や不動産取得税は発生しません。これは、信託設定が単なる財産管理の委託であり、所有権の実質的な移転を伴わないためです。ただし、重要な例外として、受益者が委託者以外の場合(例:子供や孫)は、実質的な財産移転とみなされ、贈与税が課税される可能性があります。このような場合は、税務専門家に相談して適切な対策を講じることが推奨されます。

信託期間中の税金

信託期間中の課税関係については、主に固定資産税と所得税が関係してきます。これらの税金は、原則として受益者に課税されることになります。具体的には、不動産から生じる賃料収入や売却益などの収益に対する所得税、保有する不動産に対する固定資産税などが含まれます。信託財産から発生するあらゆる収益や費用に関する税務上の責任は、受益者が負担することになります。このため、受益者は定期的な確定申告や税金の納付などの実務的な対応が必要となってきます。

 


5. 家族信託の具体的な手順

1.信託の目的と内容の決定:家族の状況や将来のニーズを考慮しながら、信託で実現したい具体的な目標と管理方法を明確にします
2.関係者(委託者、受託者、受益者)の選定:それぞれの役割と責任を理解した上で、信頼関係があり、長期的な協力が期待できる適切な家族メンバーを選びます
3.信託契約書の作成:専門家のアドバイスを受けながら、財産管理の具体的な方法、受益者への利益分配方法、将来の想定シナリオなどを詳細に規定した契約書を作成します
4.不動産登記手続き:信託財産となる不動産について、法務局での信託登記を行い、新しい権利関係を公示します
5.信託管理の開始:受託者による実際の財産管理を開始し、定期的な報告や収支管理など、継続的な信託運営の体制を整えます

 


6. よくある質問と回答

 

Q1. 信託設定にかかる費用は?
一般社団法人家族信託推進協会での信託契約書作成は45万円(税別)ですが、別途登記費用と公正証書作成代が掛かります。これらは物件の規模によって変動しますので、目安がありません。お問い合わせいただいてからの算定となります。

Q2. 受託者は誰でもなれる?
制限はありませんが、責任と義務が伴うため、信頼できる家族メンバーを選ぶことが重要です。近所に住んでいるか、常に頼っている人がいるのであれば、その人を任命するのが良いでしょう

 

まとめ

家族信託は、将来の資産管理と相続対策として有効な手段です。ただし、メリット・デメリットを十分に理解し、専門家に相談しながら進めることが重要です。

電話でのお問い合わせ
03-6426-1411
東京都品川区戸越5丁目18-16
受付時間 10:00-18:00 [不定休]
メールでのお問い合わせ