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2025.6.13お役立ち記事
認知症と不動産売却について!3つの法的制度と具体的な準備の進め方

認知症と不動産売買:基礎知識

認知症患者やその家族が不動産売買を検討する際、多くの不安や疑問を抱えることは自然なことです。本記事では、認知症患者の不動産売買に関する重要なポイントと、活用できる制度について詳しく解説します。

 


認知症患者の不動産売買における課題

認知症で判断力が弱くなると、基本的には不動産の売買をすることができなくなります。これは法律で決められた大切な仕組みで、認知症の人とその家族のお金や財産を守るためのものです。

ただし、認知症には進行具合や症状が様々あります。そのため、次のような制度をあらかじめ知っておき、将来的な不安に備えておく必要があります。


利用できる制度について

成年後見制度:判断能力が不十分な方の権利と財産を法的に保護するための制度です。家庭裁判所によって選ばれた成年後見人が、本人に代わって財産管理や重要な契約などの法律行為を行い、その方の生活と権利を包括的にサポートする仕組みとなっています

任意後見制度:将来的に判断能力が低下する可能性に備えて、本人が意思判断できる間に、信頼できる特定の人物を後見人として事前に指定しておける法的制度です。この制度では、本人が望む形で財産管理や生活支援を行える後見人を、自分の意思で選択することができます。ただし、既に認知症の判断がされている場合は利用できません。

・家族信託:財産管理や資産運用の権限を、信頼できる家族メンバーに法的に委託できる制度です。この仕組みでは、委託者(認知症の方やその可能性のある方)の意向を尊重しながら、受託者(信頼できる家族)が財産を適切に管理・運用することができます。ただし、既に認知症の判断がされている場合は利用できません。

 


家族信託のメリット

家族信託は、認知症の人の不動産を管理するための新しい制度として今注目されています。従来の管理方法に比べて使いやすく、家族の状況に合わせて柔軟に対応できるのが特徴です。

家族信託には、以下のような具体的なメリットがあります:

・柔軟な財産管理が可能:信託契約の内容に応じて、不動産の賃貸や売却、建て替えなど、様々な管理方法を選択できます

・家族間での円滑な資産承継:将来の相続を見据えた計画的な資産移転が可能で、争族の防止にも効果的です

・認知症発症後も継続的な不動産管理が可能:判断能力が低下しても、あらかじめ定めた信託契約に基づいて、途切れることなく財産管理を継続できます

 


 

不動産売却時の注意点

ただ、家族信託で不動産を売却しようと考えている方場合、トラブルのない安全な信託のために、以下の重要な準備が必要になります。

  1. 本人(委託者)の意思を確認する: 家族信託は、財産を託す人の意向をしっかりと理解し、将来に備えることが目的です。財産を預かる立場の人が自由に使えるわけではなく、その資産で生活する人(受益者)が安心して暮らせるよう支援することが目的です。そのため、委託者の細かな希望をよく聞いて記録しておきましょう。
  2. 法的な手続きを正しく行う: 不動産売却には多くの書類作成と手続きが必要です。特に公正証書の作成や不動産登記など、細かな注意が必要な手続きが数多くあります。専門家に相談しながら、自分で行うべきことと専門家に依頼することを明確に区分けしましょう。
  3. 家族全員で話し合う: 将来的に売却について家族みんなが納得できるよう、しっかり話し合いましょう。まれに「あの親族とは疎遠だから話し合う必要がない」と言う方もいらっしゃいますが、相続権がある場合は将来的に揉める可能性が出てきてしまいます。また、後で揉めないように、話し合いの内容は必ず書面に残します。

 


 

まとめ

意思確認が取れなくなっても、事前に正しい制度を使えば不動産を売ることができます。特に「家族信託」という制度が便利で、家族が本人に代わって不動産を管理できます。ただし、大切な財産のことなので、必ず専門家に相談してから進めましょう。

 

早めの対策が重要!認知症の症状が進行する前に、家族で話し合い、適切な制度の利用を検討しましょう。

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